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IP電話(アイピーでんわ)はインターネットプロトコル(Internet Protocol)電話の略で、電話網の一部もしくは全てにVoIP技術を利用する電話サービスである。声のみのものが多いが、動画も利用できるテレビ電話サービスなども可能である。

狭い意味では、電気通信事業者のIP加入者線を利用した電話番号の割り当てられるサービスをさす。日本電気通信事業法電気通信役務の届出区分では、インターネットを使用した電話番号の割り当てられないものも含む。また、一般的にはIP電話との認知は無いまたは薄いが、中継網にVoIPを活用している中継電話もある。IP電話とVoIPを区別せずに記述する向きもある。また、IPセントレックスなど内線電話のVoIP化として利用も増えている。

この項では、狭い意味でのIP電話サービスに関して述べる。その余については関連項目を参照。

固定電話との比較

固定電話と比較して、以下のような特徴がある。

  • プレゼンス管理・ボイスメール・電話会議・テレビ電話サービスなどその他の付加価値をつけたものも存在する。
  • ネットワーク構成の自由度を生かして、電話の音声帯域を拡張し(~7KHz、G722)高音質化を図ったものも一部にある。

注意点として以下の点があげられる。

  • 停電時に局給電による電話が使えない(停電を保障するにはUPSが必要)。
  • 特殊な電話番号警察消防への緊急電話が掛けられない場合がある。
  • 電話の付加サービスが無いか異なる場合がある。
  • 発展途上の技術であるので、標準化が完全でない部分がある。

法的位置付けの問題<スタブ>

2005年現在、各国で法的位置付けが異なる。

  1. 基本的に情報サービスの位置付け : ペルースイス
  2. 電気通信として規制するかどうか議論中 : アメリカ合衆国アルジェリア
  3. 特定の機能を持つものを電気通信として規制、その他は情報サービスの位置付け : EUカナダ大韓民国
  4. 基本的に電気通信として規制 : 日本インドネシアタイ王国エジプト
  5. 固定電話 - 固定電話間のサービスを禁止。その他を部分解禁 : ハンガリーインドベトナムモーリシャス

また、公衆交換電話網と同様に基礎的電気通信役務として位置付けるかについても差異がある。

日本でのIP電話

日本では、電話番号の割り当ての有無に関係なく基本的に電気通信役務として規制される。また、提供サービス・通話品質等を利用者に分かり易く広告などで契約前に提示し、苦情受付を誠実に行うこととなっている。

電気通信役務#日本の電気通信事業法における利用者保護を参照のこと。

利用状況

2003年より電話番号が割り当てられたIP電話サービス(→#日本における電話番号割り当て)が開始され、一般電話網からの直接着信が可能になり、個人向けに普及が始まった。

企業などでは、1人に1個ずつ人事異動で変更されない電話番号を割り当て顧客などからの問い合わせに直接応答するなど業務の効率化を目指した利用法もある()。また、2005年頃からは、大手企業の問い合わせ先窓口の電話番号にもIP電話が導入されるケースが登場した。

注:もっともこの利用方法は、本来は060番号(UPT:Universal Personal Telecommunication)が利用されるべき番号ではあるが、050のIP電話システムの適用が一般的である。)

  • キヤノン・お客様相談センター
  • JR東日本・テレフォンセンター
    • 列車時刻、運賃・料金、空席情報 050-2016-1600
    • 忘れ物 050-2016-1601
    • その他 050-2016-1602

事業者の状況

日本国内では、多くのインターネットサービスプロバイダ(ISP)がIP電話サービスを提供している。IP電話サービスを提供する事業者をITSP(Internet Telephony Service Provider)と呼ぶ。

とりわけ、ISPのADSLFTTH契約のオプション商品やセット商品として、契約競争が始まっている。また、同一のVoIP規格を利用するITSPを拡大する動きもある。(→#日本のIP電話のグループ一覧

現状では、IP電話利用の通話料金には以下の特長がある。とくに安価な遠距離・国際通話はコストを安くできるVoIPの特色になる。

  • 同一グループ(同一のIP電話基盤)に契約のIP電話同士の通話については、通話料が無料となることが多い(特に050番号では一般的)。
  • 固定電話・PHSに掛ける場合には、全国一律の通話料制をとるITSPが多く、長距離通話料金は固定電話から掛けた場合に比べ大幅に安くなる。
    • なお、市内電話は固定→固定に比較して固定→IP電話は若干高くなり、また公衆電話→IP電話は大幅に高くなる。
  • 携帯電話への発信も中継電話のそれと同水準にある。
  • PHSへの発信も、携帯電話への発信料金と同水準にある。2006年時点で、固定→PHSへの通話料を節減する唯一の手段。
  • 国際電話についても主要国に対してはおおむね安く、ITSPによってはアメリカ合衆国への通話が国内通話よりも安い(国際電話には消費税は課税されないため)サービスさえある。逆に、国によってはKDDI回線(001)などよりも高くなる場合もある。

なお、これらは主に050番号のIP電話の場合であり、0AB~J番号のIP電話の場合は一部異なる場合がある。

IP電話網間の相互接続

ITSP(IP電話事業者)間で、IP電話網間のVoIPレベルでの相互接続を行っている。主に050番号のIP電話の相互接続について以下述べる。なお、(0AB~J)番号のIP電話の相互接続については、直収電話と同程度のレベルのものと見られる。

ITSP間の相互接続の組み合わせ{}_n{\rm C}_{m}となり複雑である。相互接続には、通話料が無料のものと、有料のものがある。

無料相互接続の場合は、ITSP間でVoIP規格や機器ベンダーなどが同一のため、通話のトラフィックをそのままIPレベルで流して、VoIP端末同士でP2Pの通話を行っている(もちろんセッション管理サーバの仲介はあるが、通話トラフィック自体はP2P)。

有料相互接続の場合は、ITSP間でVoIP規格や機器ベンダーなどが異なるため、通話のトラフィックをVoIPゲートウェイなどを通して相互に変換している。通話中はゲートウェイの資源を消費するなどの理由により、通話料は有料となっている。

IP電話網間の相互接続をしてない場合もあり、そのような場合には、NTTの固定電話を利用して通話する(後述の「セカンダリ電話」である場合)。NTTの固定電話は、殆どのIP電話網と相互接続している事が多い事を利用しているのである。

日本における電話番号割り当て

2002年9月より、条件を満たすIP電話網に電話番号が割り当てられている。条件は電気通信事業者が提供する部分についてのみ適用され、利用者の設置する部分(屋内)は利用者の責任とされている。

アクセス回線として光ファイバーインターネット接続ケーブルテレビ・高速専用線を用いるIP電話サービスは通常の市外局番(0AB~J)の割り当てが認められているものがある。しかし、ADSLを用いるものは、通話品質クラスAを満たさないと言う事で"050"の識別番号の割り当てが一般的である。IP回線のエラーレートの高低は、IP電話の通話品質に直接の影響がある。すなわち、ADSL上のIP電話はその他の回線に対して品質上、不利である。

インターネットを経由するものは電気通信事業者が通話品質(QoS)に責任を持つことが不可能とされ、050または(0AB~J)の電話番号割り当ては認められていない。

IP電話の品質クラス分類

クラス
A
B
C
相当品質 固定電話携帯電話通話可能
R値 >80 >70 >50
遅延時間 <100ms <150ms <400ms
  • 呼損率 : 全ての区分について ≦0.15

なお、R値・呼損率は、95%以上の確率で満たさなければならない。

セカンダリ電話

通話品質クラスC以上で電話番号と設置場所の対応がとれないシステムは、050の識別番号の割り当てを受けることができる(次の「プライマリ電話」の項に示されている条件を満たさないと、通常の市外局番 (0AB~J) の割り当ては受けられない)。また、その多くは固定電話と併用して利用する「セカンダリ電話」(「第二電話」)とされる。特に、個人向け等(セカンダリ電話で050番号)の物については以下のような制限がある。なお法人向けのIPセントレックスなどでも050番号は使われているが、こちらは仕様が異なる。

050番号のIP電話サービスは、(専用IP網上で)通話品質クラスC以上が条件ではあるが、基本的に回線の帯域保証はなくベストエフォートである(通話セッション数の保証を含む。ただしインターネット経由と言う意味ではない。)。そのため、回線の(一時的な)切断、ノイズ(特にADSL)や輻輳などが原因で、またさらには、回線事業者やISP(ITSP)における障害やメンテナンスなどが原因で、IP電話の掛け受けが出来なかったり、雑音が入ったりする可能性もある。

セカンダリ電話のIP電話では、サービスの利用可否に細かい区分がある。特に光ファイバーインターネット接続などに切り替えて、固定電話の利用を止めた場合に問題が顕在化することも多い。これらの利用可否は、技術的・制度的なものではなく、事業者側が、設備投資等の営業上の理由等から、固定電話の併用を前提とし、各種電話網との相互接続やサービス提供を実施していないためである。

  • 利用できるサービス
    • 固定電話との発着信 (※一部の直収電話を除く。)
    • 携帯電話PHSとの発着信 (※一部のPHS事業者を除く。)
    • 国際電話との発着信 (※国際着信ができないものもある)
    • IP電話 (0AB~J)との発着信 (※一部のIP電話(0AB~J)を除く)
    • IP電話 (050)との発着信 (※IP電話網間が相互接続《通話料無料または有料》されている場合に限る)
  • 利用できないサービス (※一部事業者で一部可能なものもある)

※サービスの利用可否、および利用可否の一部除外対象は、それぞれIP電話事業者ごと、および除外対象事業者との組み合わせごとに異なる。

なお2003年から2005年にかけて、セカンダリ電話であるような050のIP電話において、緊急通報(110/119番など)を可能とするような技術的・制度的検討が総務省等でなされている。

プライマリ電話

次の条件を満たすものは、通常の市外局番 (0AB~J) の割り当てを受けることができる。その多くは固定電話を代替する「プライマリ電話」(「第一電話」)とされる。直収電話とも相似したサービスであり、電気通信事業者の営業上も競合関係にあると見られる(ただし、IP電話は停電時に不通になると言う短所もある一方、長距離の通話料が相対的に低めに設定してあると言う長所もある。)。

  • IP加入者網を直接収容し、電気通信事業者自身が相互接続用交換設備を管理する。
  • 固定電話並みのクラスAの通話品質を安定して確保する。(回線の帯域保証が要求される)
  • 電話番号と発信場所を対応させ、利用者が変更できないような構成とする。
  • 確実な需要に基づいた電話番号・サービスの提供計画を示す。
  • 110番や119番などへの緊急通報に対応する事。

2004年現在、電話番号をそのまま継続使用できる「番号ポータビリティ」というサービスも始まっている。だが、直収電話と同様に、NTTの固定電話と比較して利用できなくなるサービス・電話番号なども一部には残る(導入のメリット・デメリットその他は直収電話の項目も参照。)。

また、一部のプライマリ電話のIP電話サービスにおいても、フリーダイヤルのような着信課金サービス(提供事業者によりサービス名は異なる)の着信先回線としての設定が可能になった。 LINKLINK

なお、通常の市外局番(0AB~J)の番号を割り当てられている電話については、提供形態を問わず、緊急通報に対応することが電気通信事業法および電気通信番号規則で定められている(総務大臣が特に認めた場合を除く)。プライマリ電話には、緊急通報に対応する事も要求されているが、現状非対応のサービスも一部にある。2005年、NTT東西の「ひかり電話」およびKDDIの直収IP電話である「メタルプラス」、QTNet・「BBIQ光電話」が、対応していると謳いながらも、一部地域で未対応など完全には対応していない状況でサービス提供を開始するなどの問題があったとして、総務省から行政指導を受けた。

050の識別番号を割り当てられている事業者

通常の市外局番(0AB~J)の番号を割り当てられている事業者

日本のIP電話のグループ一覧

IP電話事業者(ITSP)の基幹IP電話基盤(IP電話の幹線網・IP電話サーバ/ゲートウェイ交換機・課金システムなどの総合システム)により、数グループに分かれている。

(一部のISPにおいて)ISP事業と共に、兼業的にITSP事業を実施している形態が多い。また、特に050番号のIP電話においては、ITSP事業を自らのISP事業においてのみ提供しているのではなく、他のISPに対しても提供している場合がある。以下は主に050のものについて述べる。

ADSLやFTTHにおいてはアクセス回線事業者とISPとが別々で2者に別れている場合があるが、そのブロードバンドサービス上で利用できるIP電話サービスについても同様に、ITSPが別の事業者に別れている場合もある。合わせて3つの別々の事業者によりサービスが提供される場合があり、少々複雑になる。

ユーザに対しては、ISPが対応・提供するITSPの名称(一部には、複数のITSPから選択できる場合もある。@niftyBIGLOBEなど)を明示してホールセール(whole sale)し、IP電話の通話料はISPが徴収代行する事が多い。

主要ITSP(グループ)と、そのITSP(IP電話基盤)につき対応・提供する主要ISPのうち、主要なものを以下に列挙する。

(注1)グループが異なっていても、通話方向によって無料の場合がある。

関連項目

外部リンク


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