福祉






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福祉(ふくし)とは、「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉で、広義で「公共の福祉」などと使われる。福祉とは暮らしのあり方であり、生きるために欠かせない基礎的な生活要求、人として生きるための社会的な要求、健康かつ文化的に生きたいという文化的要求から成る。
- 狭義で社会保障や生活保護を指すこともある。
- 社会福祉は、未成年者、高齢者や障害者で生活上なんらかの支援や介助を必要とする人、経済的困窮者・ホームレスなどに対し、生活の質を維持・向上させるためのサービスを社会的に提供すること、あるいはそのための制度や設備を整備することを指す。その過程では、対象者の人権を擁護し、場合によっては権利を代弁(アドボカシー)することもある。
- 社会福祉制度とは、社会福祉に関する制度。
- 社会福祉政策とは、政府による、社会福祉サービスの運営や提供に関するプログラム。
福祉
言葉の成立
「福」と「祉」は、ともに「しあわせ」を意味する漢字で、「福祉」(welfare, well-being)は広義では「幸福、安寧」や「良く生きること」などを指す。
元々は日本国憲法作成時における、GHQ案の英語原稿翻訳を行う際「welfare」に対応する語が存在しないために充てられた言葉であり、この語が成立するまでは「社会政策」「社会事業」などの用語が使われていた。
社会福祉
社会福祉の歴史
日本の社会福祉の歴史は、聖徳太子が建立し現在もその名が残る「悲田院」などの救済施設まで溯ることができるが、当時は貧民救済の性格が強く、福祉という言葉は使われていなかった。その後仏教的な思想などを背景として、僧侶による救済や共同体での相互扶助が行われてきた。一方、ヨーロッパ大陸ではキリスト教の影響により古くから慈善事業が行われてきた。
国連は1981年を国際障害者年とすることを決議した(1980年1月30日)。テーマは、「完全参加と平等」とされた。障害に対する考え方を「助けるもの」から「自立を支援するもの」への大転換を目指すものであった。1983年から1992年を国連障害者の10年とし、その行動計画を充実させ、さらにアジア・太平洋各国は1993年から2002年までをアジア太平洋地域障害者の10年としてその定着を進めた。このなかで、福祉の理念の一つとしてノーマライゼーションという言葉が強調され始めた。
社会福祉制度
社会福祉の供給主体は「家族」「政府」「市場」があり、3つに大きく分けることができる。しかし、「家族福祉」という言葉があるように、福祉の供給の大部分を担っているのは「家族」である。家族や近隣の相互扶助で機能を果たせなくなった部分を、制度として社会が担うようになってきた。
それ以外にはその他のコミュニティ、企業活動のうち収益活動以外の活動、生活協同組合、労組、公益法人、社会福祉法人、宗教団体、NPO、ボランティアなどで、多様な主体の捉え方や位置づけは、国によって異なる。
- アメリカを始めとするアングロサクソン諸国では、それらは市場の一員とみなされる。公共部門が嫌悪され、民間が賛美される風潮がある上に、財源が寄附金で賄われているということも大きい。
- 北欧諸国では、それらは福祉国家の代理人であるとみなされる。福祉国家に肯定的な雰囲気とともに、財源が国家財政に依存していることもある。
- 大陸ヨーロッパ諸国では、4番目のカテゴリーとして市民社会の一員であるとされる。
- 日本では、家族とまとめて「共助・互助」カテゴリーを構成する。ここLINKに、日本においては4番目のカテゴリーが存在せず、かつ、家族とその他のボランティア等を混合して捉えていることが述べられている。
社会福祉政策
社会福祉政策の歴史
日本政府による社会福祉政策は大正時代に萌芽が見られるが、本格的には敗戦処理から始まる。まず復員軍人や遺族の経済問題に対処するため生活保護法が作られ、続いて戦争孤児のため児童福祉法が制定、児童養護施設が次々と民間でつくられた。次に傷痍軍人などを救済するため1950年に身体障害者福祉法が施行されるなど、社会福祉政策として確立していくようになる。以上の3つの法律を「福祉三法」と呼ぶ。
その後1960年代に現在の知的障害者福祉法、老人福祉法、現在の母子及び寡婦福祉法が制定された。これらを併せて「福祉六法」と呼ぶ。
本格的な高齢社会を背景に2000年には介護保険法が施行され、老人福祉サービスを先駆けに社会福祉政策はこれまでの措置制度から契約中心の制度へと大きく転換し、2006年には障害者自立支援法が施行されることとなったが、一連の改革を「社会福祉基礎構造改革」と呼んでいる。
日本の社会福祉政策
日本では、まず日本国憲法第25条第2項(生存権)で、「国は、すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定している。ここで社会福祉は、慈善や相互扶助のみではなく、国が向上・増進させるべきとの規定がなされている。
- 生活保護法
- 児童福祉法
- 母子及び寡婦福祉法
- 身体障害者福祉法
- 知的障害者福祉法
- 老人福祉法
- 社会福祉法
- 介護保険法
社会福祉政策の課題
「小さな政府」を目指す先進諸国で見られる「福祉のビジネス化」は福祉のコスト意識の定着と福祉サービス提供の迅速化を促進するという見方と同時に、国家における責任の放棄との見方もあり、今まで必要なサービスを受けられていた人間が、逆に十分なサービスを受けられなくなるという「対象の空洞化」の問題が深刻化している。
社会福祉政策における資格と人材
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士などの国家資格があるが、これらは一部を除き業務独占ではなく名称独占のため、職務の棲み分けが明確でなく、施設によっては国家資格を職名として使用しないところもある。また、介護保険法制定以降、高齢者福祉では介護支援専門員や介護福祉士、2級以上のホームヘルパーのニーズが高まる一方で、社会福祉士の有資格者の活躍の場が少ない点が指摘されている。
日本では超高齢化を反映して、高齢者福祉施設は施設数が多い為に求人数も多いが、児童・障害施設は保育所を除くと施設数が少なく、求職者数は多くても求人数は少ないのが現状である。特に高齢者福祉及び介護領域は民間企業が参入しやすい為、介護職や看護職の派遣業が確立されたが、児童・障害分野は行政機関か社会福祉法人主体のものが多い。職員設置基準が30年以上前のままである施設もあり、児童養護施設や児童相談所などでは配置人員の不足が指摘されている。
また、社会福祉(主に介護職)は専門職であるにもかかわらず、他業種に比べ転職率が高いと言われている。これには以下のような理由が考えられる。
- 入所型施設では変則勤務や夜勤が多く、交替で休暇を取る。また仕事の内容の割に待遇が良くない。
- 雇用面では、求人ニーズが多い割には常勤雇用ではなく、パート、アルバイトが多いことが挙げられる。これは女性の多い職場ため、出産、育児休業などによる代替雇用が多いため、正規雇用に繋がらない。
- 利用者との関係によるストレスによる肉体的・精神的に疲弊してしまう。例えば高齢者施設では認知症、知的障害者施設では自閉症、精神障害者施設では精神障害などが挙げられるが、それぞれ特有の行動や言動のある利用者と日々関係を作っていく点で共通している。また暴力行為や不調、自傷他害など、利用者の突発的行為にも対応していくことが要求される。
- 利用者の生活そのものを支援するだけに、支援に対する考え方が個々の職員によって違うことがあり、考え方の違いが意見の相違を生むことがある。また経営方針を巡り、現場と管理職が対立するケースも稀にある。
- 利用者だけでなく、その家族や病院、行政機関、学校など各種関係機関との連絡調整に忙殺される。特に入所施設では、利用者と家族との関係が疎遠になっていたり、複雑な事情が絡み合っている場合も多く、金銭管理面において、非協力的なケースとも向き合う場合がある。
特に日本においては1990年代に入ってから福祉や介護へのニーズが高まり、福祉系大学の新規開学や学部の新設も始まった。しかし福祉系の資格やニーズの高まりの反面、雇用や労働条件は決して高いものとは言えず、今後このギャップをいかに埋めていくかが課題となる。在学中は高齢者福祉以外での就職を希望していても、現実には狭き門の為、高齢者施設で就職せざるを得ない学生も存在する。
学校教育への展開
義務教育であるかないかを問わず多くの学校では福祉教育が実施されているが、2003年(平成15年)度より、高等学校の専門教科として「福祉」が設置されている。
関連項目
外部リンク